公には東側社会を代表する体制の規範として共産党の全体主義に翻弄され続けた20世紀最大にして最後の交響曲作家、ドミートリィ・ショスタコーヴィチは晩年になってから密かに真実を明らかにした記録を残すプロジェクトに取り掛かる。東西冷戦の真っ只中に生まれ、バブル期に青春時代を過ごした ”僕” の「生きる意味」への自問自答はやがて偉大な芸術家のイデオロギーとの葛藤と時空を超えて交わる。


人生わずか37年にして自身の胸に銃弾を打ち込んでこの世を去ったフィンセント・ファン・ゴッホ。鮮やかな色遣いと大胆なタッチで人の心を掴む彼の作品がこの世に生み出されるには、弟テオドールとの確かな絆が必要不可欠であった。

美術には無関心だった ”あたし" はある日突然ゴッホの青と黄色に魅せられ、居ても立ってもいられなくなる・・・

”あたし" がゴッホの人生と自身の存在意義を照らし合せて「色探し」の旅を続ける、ノン・フィクション短編。


1492年 コロンブスが新大陸を発見した」

 

私たちがこどもの頃、教科書にはこう書いてあった。

果たしてコロンブスは本当に「発見」したのか?

アメリカ大陸は「発見」されたのか?

2017年。Musica14.8(ムジカ・カトルセ・コンマ・オチョ」京都公演のために書き下ろされたエッセイ。